vol.37 耐震・制震・免震構造の違いとは?注文住宅で重視すべきは?
注文住宅のイロハ
地震大国日本では、どこに住んだとしても、常に地震の危険が消えることはありません。そのため家を建てる際は、地震に強い家であることが求められます。しかし一口に地震に強いといっても、耐震、制震、免震などその種類はさまざまです。そのためいざ家を建てようと思った時、どの方法が一番自分に合っているのかわからないといった声も。そこで今回は注文住宅を建てるうえで知っておきたい、地震に強い住宅についてご紹介します。
建築基準法における耐震基準とは?
1948年、福井県で起きた福井地震をきっかけに、初めて建築基準法の中で耐震基準を定めることが法制化されました。その後、十勝沖地震、新潟地震など大きな地震が発生するたびに改正されていき、現在の耐震基準は1978年に起きた宮城県沖地震を受け1981年に、1995年の阪神淡路大震災を経て2000年に、2004年の新潟中越地震を経て2005年に改正と、建築基準法は更新されてきました。なかでも、木造戸建て住宅については、1981年と2000年に耐震基準の大幅な改正がなされています。
現在の耐震基準は、「震度5強程度の中規模地震では構造躯体に損傷を生じない」=構造に影響なし。 「震度6強から7に達する大規模地震で倒壊・崩壊しない程度」=屋内から逃げることが可能。 となっています。
それまでは「震度5で倒れない」=倒壊しないが、構造に影響ある場合も。というものでしたので、より大きな地震が起きても対応できることが求められるようになったのです。そしてこれからご説明する地震に強い構造についても、この新しい耐震基準が元になっています。
耐震、制震、免震。それぞれの特徴と違いは?
住宅の地震対策は、耐震、制震、免震の大きく3つに分類されます。しかしその名称だけを聞いても、それぞれにどういった特徴や違いがあるかを理解しているかたは多くはないでしょう。それぞれの構造の特徴についてご説明します。
■耐震
建物本体の硬さ(剛性)、強さで崩壊を防ぐ構造で(耐震等級1~3に分類)、等級によりその剛性が異なります。例えば耐震等級1の場合は、震度6~7クラスの揺れでも建物が倒壊しないことを目的としています。
耐震の考え方は、地震の揺れによって建物が一定の変形を超えると、筋交いが折れる、石こうボードが割れるといった損傷をしながら建物自体で揺れを吸収します。制震、免震に比べると建物の揺れは大きく、地震が繰り返し起こると倒壊の可能性もあります。
■制震
建物の柱や梁の間に設置された制震部材(ダンパー等)で地震エネルギーを吸収します。元々はマンションや高層ビルに採用されていた方法で、多くは住宅用に改良されたシステムです。耐震に比べ揺れを小さく抑えられるうえ、建設費に占めるダンパー費用の比率はそれほど大きくないため、予算に多少余裕があれば導入したいところです。
■免震
建物と基礎の間に免震装置を設置して地震エネルギーを吸収します。耐震、制震に比べ建物の揺れが小さく、設計上の制約も少ない方法です。ただし免震システムはコストが高いこと(多くは200万円以上、制震装置の約4倍以上のコスト高)、施工できる敷地条件が限られるということに注意が必要です。そのためマンションや商業施設などの大規模建築では主流の耐震対策となっていますが、一般住宅ではあまり採用されていません。
2×4と組み合わせることでさらに高い効果を発揮
耐震、制震、免震とそれぞれの構造の特徴や違いについてはご理解いただけましたか?
地震に対しては、耐震<制震<免震の順に地震に強い建物となりますが、費用も相応に比例します。一般住宅において地震に強い家を建てるには、耐震もしくは制震のどちらかを選択することになるでしょう。ここで知っておいてほしいのが、そもそも地震に強い基本構造をもつ、2×4住宅のことです。
2×4住宅はほかの工法で建てる住宅に比べ、建物本体がもともと耐震性能を持った状態で建てられます。つまり建てた段階で耐震性能の高い家ということになるため、後はさらに構造強化を図りたい場合のみ、予算に合わせて更なる耐震の強化、制震、また免震という選択肢を考えればよいことになります。
詳しくは、マルビシ2x4「基本性能」内 「耐震性」(http://www.marubishi-2×4.co.jp/tp2x4/)をご参照ください。
ただし、新築の場合は地盤の状況によって地盤改良工事への予算取り、リフォームで制震構造を希望される場合は、既存住宅全体の耐久性の向上が必要になるため、施工前に必ず専門業者に工法と予算を合わせて相談すると安心です。
もし横浜、町田エリアで注文住宅をご検討中で地震に強い家を建てたいという方は、ぜひ一度「マルビシ」までお気軽にお問合わせください。