vol.25 注文住宅の地震対策、新旧耐震基準から見る耐震性能と安心できる家づくり
注文住宅のイロハ
地震大国と言われる日本において、どこに住んでいたとしても地震の被害に遭う可能性はゼロではありません。そこで気になるのが家の耐震性能です。安心して暮らすためにも、自分の家が地震に対してどの程度耐えられるのかを知っておきたいものです。今回はマイホームの建築を検討している方にぜひ知っておいて頂きたい注文住宅の耐震性能についてご紹介します。
耐震基準に新旧があることをご存知ですか?
そもそも耐震基準とは、建物が地震に対してどの程度の強度を持っているのかを測る指標です。これは建築基準法によって基準が定められています。
この耐震基準ですが、1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけに抜本的に見直され、1981年に「新耐震設計基準」が施工されました。一般的にこの「新耐震設計基準」が施工された1981年以前の耐震基準を「旧耐震」、以後を「新基準」としています。
「新耐震設計基準」は、建物の倒壊を回避することはもちろん、その建物の中にいる人命をより重視するようになっており、具体的には「震度5強程度の中規模地震では建物の損傷がほとんどないこと」、「震度6強から7程度の大規模地震でも建物が倒壊、崩壊しないこと」が基準になっています。
ちなみに旧耐震では、「震度5強程度の中規模地震では建物が倒壊しないこと」、「震度6強から7程度の大規模地震」に関しては基準(想定)すらありませんでした。
基準の違いを震度だけで見るとイメージがわきづらいかもしれません。そこで1995年に発生した阪神・淡路大震災に当てはめてみましょう。「平成7年阪神・淡路大震災調査委員会中間報告」によると、新耐震で建てられた住宅で倒壊したのは住宅全体の約7.7%でした。これに対して旧耐震もしくはさらに古い耐震基準で建てられた住宅で倒壊したのは、新耐震の倍以上である約18.9%です。この数字を見ると、新耐震の基準の高さがイメージできると思います。
耐震基準に並んで重要な耐震性能
旧耐震から新耐震に基準が変わったことで、以前に比べ地震に強い住宅が増えました。しかし、耐震基準をクリアすればそれだけで地震対策ができているとは言えません。実際、2016年に発生した熊本地震では、新耐震基準で建てられた家であっても、多くの全壊、倒壊が起こりました。
そんな中、熊本地震でも特に被害が大きかった益城町周辺でもほぼ無害、もしくは軽微な被害で済んだ家があります。それは耐震等級3で設計された家です。この耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた耐震性能における等級のことで、次の3つに分けられています。
▼等級1
数十年に一度発生する地震(東京を想定した場合、震度5強程度)の地震力に対して損傷しない程度、数百年に一度発生する地震(東京を想定した場合、震度6強~7程度)の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性
▼等級2
等級1の1.25倍の耐震性(学校、避難所などと同レベルの耐震性)
▼等級3
等級1の1.5倍の耐震性(病院、消防署などと同レベルの耐震性)
いつどこで大震災が起きてもおかしくない日本においては、新耐震基準をクリアしたうえで、更に耐震性能も高い家でなければ、倒壊、全壊のリスクを減らすことは難しいでしょう。
地震対策でもう一つ考えるべきは直下率
熊本地震で特徴的であった「繰り返す大きな揺れ」に対しては、新耐震基準による高い耐震性能を持った家であることに加え、それまではあまり意識されていなかった「直下率」が重要なポイントであると言われるようになりました。
直下率とは、1階と2階がつながっている主要な構造となる柱や耐力壁の割合を示すもので、住宅の構造的なバランスを評価する指標です。熊本地震で倒壊した住宅の分析をした専門家によると、耐震等級が2だったにもかかわらず、倒壊してしまった家の直下率は、柱は適正直下率が60%以上なのに対して45.7%。耐力壁は適正直下率が50%以上なのに対して17.8%とどちらも適正直下率よりも低いことがわかりました。
このことからも、これから地震に強いマイホームを建てるには、耐震基準、耐震性能、そして直下率の3点を重視することが重要であることがわかります。中でも建物構造のバランスを保つ直下率は、耐震等級よりも優先すべき重要な基本です。屈強な男性(耐震等級3の家)が片足で立っても、大きな地震が来ればアンバランスになるのと同様、両足でしっかり立つ(直下率の高いバランスの良い構造)事がまずは重要です。
2x4は元々直下率の高い基本設計がベースになっているため、上下階の壁や柱位置がバラバラでも、構造計算でつじつまを合わせてしまう“自由度の高い間取り”を売りにしている工法とは、圧倒的な違いがあります。
もし横浜、町田エリアで地震に強い2x4の注文住宅をご検討中の方は、2x4工法のプロフェッショナルである「マルビシ」まで、是非お気軽にお問合わせ下さい。